約1ヶ月前、本多灯選手は世界水泳選手権(ドーハ)で200mバタフライを制し、男子史上初の金メダルを獲得。世界王者として臨む代表選考会は、「勝って当然」のはずだった。しかし、世界選手権前に捻挫した左足首の不安を抱える中、「乗り切るという気持ちで臨んでしまった」と、持ち前の強気の姿勢が影を潜めた。
男子400m個人メドレーは予選敗退、本命の男子200mバタフライ決勝も、150mまで1秒以上あった差を、後輩の寺門弦輝選手に逆転されて2位でフィニッシュ。「苦しかったです。代表権を取れたことをよし、と思いたい」と、満足とは程遠い内容だった。
本多 灯 選手
それでも本多選手は「本当の勝負の前に、『勝つ』ことの難しさを知ることができた」とプラスに捉え、五輪王者の座をめざす。
「自分が水泳をやってきた人生の中で最強の、最後の夢が五輪の金メダル。重圧も大きくなるけれど、それを押しのけて、金メダルを獲りたい」
5月下旬、フランスほかを巡る欧州グランプリに出場した本多選手は、その第1戦、200mバタフライで優勝。怪我の心配を払拭し、五輪に向けて順調さをアピールした。だが、モナコでの第3戦は、金メダルを争う最大のライバル、東京五輪金メダルのクリシュトフ・ミラク選手(ハンガリー)に先着を許して2位。悔しさを感じつつも、「自分の泳ぎはできた。精度を上げれば結果は出てくると思う」と手応えを口にした。
200mバタフライで、世界王者と五輪王者の2冠に輝けば、もちろんそれは日本史上初の快挙。本多選手ならやってくれる。
Profile
本多 灯[ほんだ・ともる]
2001年生まれ。神奈川県出身。日本大学藤沢高卒。’ 24年3月スポーツ科学部卒業。本学入学後はインカレで200mバタフライを4連覇するなど、数々の大会で活躍。大学2年時に出場した’21年東京五輪で200mバタフライ銀メダル。世界選手権でも’ 22年、’ 23年と同種目で表彰台に上がり、’ 24年には五輪・世界選手権を通じ同種目で日本人男子選手初となる金メダル獲得の快挙。パリ五輪でも金メダルをめざす。
