中学棟と高校棟が並び立つ校舎

東葉高速鉄道の船橋日大前駅から理工学部船橋キャンパスを抜けた先に立地する千葉日本大学第一中学校・高等学校。平成29年に完成した中学棟と高校棟が並び立つ校舎、美しく整備された広大なグラウンドの下で、生徒たちは伸び伸びと学校生活を送っている。

校訓をブラッシュアップ

羽鳥和弘校長は「長年受け継がれている校訓は『真』『健』『和』。真理を探究する姿勢、心身の健やかさ、そして自他を尊重し協力し合う精神を育むことを意味しています」と口を開く。ただ、校訓があまりにシンプル過ぎるがゆえ、生徒が日々の学校生活の中で常に意識することはなかなか難しいという。

そこでスクール・ポリシーを昨年策定し、その中のグラデュエーション・ポリシーでは卒業までに身に付けさせたい能力を明確化した。「校訓を現代的かつ具体的にブラッシュアップしました。伸ばしてほしい能力をわかりやすく掲げることで、生徒と教職員のベクトルがより合わせやすくなりました」と羽鳥校長は強調する。

教育方針を語る羽鳥和弘校長

同校の強みとして挙げられるのは「きめ細やかな学習指導」と「徹底した面倒見の良さ」。特に「取りこぼさない」教育を重視しており、その象徴が毎日のように行われる小テストの多さだ。

公立校に比べても圧倒的な頻度で小テストを繰り返し行うことで、つまずきや理解不足を早い段階で発見し、志望校合格までを徹底的にフォローする。この反復の積み重ねが定期考査や模擬試験での成果に確実に結び付いているという。

ただ、テストが多いからといって教室にギスギスした感じはない。「当校のもう一つの強みは生徒と教師の距離の近さ。教師と生徒の間には信頼関係があり、そのため厳しい中にも適度な安心感が校内に常にあります」と伊藤一明教頭は説明する。

飽きさせない授業


隣の生徒と教え合う時間も設けている英語の授業

高校1年生の進学クラス(日大志望)の英語の授業を見学した。ICT機器や教育用アプリを活用したインタラクティブな学習を50分間にわたって実施。生徒の集中力を切らさないために細かな配慮を施しているのが印象的だった。


英語の音読は即座に点数化され、最高点を取った生徒がわかる

授業を担当した堀部佳孝教諭は「音読した音声を即座に点数化したり、生徒を指すのにルーレットを使ったり、生徒が前向きに明るく参加でき、飽きさせない工夫をしています」と語る。

英語の授業について語る堀部佳孝教諭

また、ちょうどこの日は教師が互いの授業を自由に参観できる「公開授業」の日に当たり、複数の教師が英語の授業を見学に来た。他の教師がどんな指導法や工夫を取り入れているかを学び合うのが狙いで、校長の提案で昨年から始まった。教育の質的向上を支える試みとして好循環を生み出すことが期待されている。

中高一貫に統一

「総合的な探究の時間」でも来年度から新たな試みが始まる。これまでは中高の学年ごとに授業内容を決めていたが、来春から中高一貫の6年間にわたる統一的な「総合探究プログラム」を導入し、生徒に段階を踏んで計画的に成長してもらう予定だ。


中学2年生の探究の授業

中学2年の学年主任の山形浩之教諭は「総合探究で最も重視しているのは『適切な問いを立てる力』の育成です。この力は将来社会で求められる不可欠な能力。生徒にぜひ身に付けてもらいたい」と話す。

探究授業について語る山形浩之教諭

機会を幅広く提供

昨年のグラデュエーション・ポリシー作成の際、教職員に実施したアンケートでは、生徒の長所として「明るい」「素直」が挙がる一方、「言われたことはやるが、積極性に欠ける」という課題も浮き彫りになった。

羽鳥校長は「これは教員側が行き届いた準備をし過ぎてしまい、生徒が受け身になってしまっている面も否めず、手厚い教育の裏返しかもしれません」と語る。

そのため、今後導入する「総合探究プログラム」のほか、宿泊行事や部活動など多様な体験の機会を幅広く提供し、自分の意志で進路を選択できる人材育成に力を注ぐ方針という。羽鳥校長は「自分で人生を切り開いていく力の土台を培ってほしい。そのための支援は惜しみません」と話している。

(日本大学広報 令和8年10月号)